OHNW
制限から生まれる プラス
建物をかたちづくる要素は様々である。
施主の要望はもちろん
構造や建築基準法等の法規制等。
この家の建つ敷地は、低層住宅専用地域。
厳しい高さ制限が設けられている。
個々の視点に立てば、妨げともとれる。
しかし本来、法規制は
社会が快適に共存する為のルール。
建築家はこの規制をマイナスと考えず
デザインのアイデアとして取り入れ
独自の形体を生みだした。
ペンシルのようなユニークな形体は
法規制が可視化されたものでもある。
建物形態の最適値
この家の屋根勾配は
1:1.25という急なもの。
北側斜線制限の勾配をなぞったもの。
それは、法により数値化された
北隣地への日照に配慮しながら
最大限の容積を確保する
最適値とも言える。
柔らかな光に包まれた室内空間
とがった 閉鎖的な外観とは対照的に
室内はやわらかな印象である。
建築家は様々なかたちで要所要所に光を取り込んだ。
光は明るいフローリングと白い壁の反射により
部屋の奥へと届く。
デットスペースとなりがちな吊戸棚の最上部。
手が届きにくく、収納としては不便な場所である。
使用頻度の少ない吊戸の最上部は潔く無しにして
羽目殺しの窓を設けることとした。
吊戸の天板は反射板となり、天井を照らす。
これらの光の郡が
空間を柔らかく包み込む。
限定した色彩
室内の色彩は徹底して
白と明るい木の色で統一。
色彩の限定は光の存在を際立たせる。
余剰空間を活かす
高い勾配屋根の屋根裏を活かして
ロフトが設けられている。
法規制から生まれた形体は
外観だけでは無く室内にもプラスの空間を生み出している。
・意匠設計 : 河澄克典
・竣 工 : 2016年1月
・工事種別 : 新築
・構 造 : 木造在来工法