top of page

KKNW

 

道路と家

 

道路斜線制限は道路と建物の関係性から生まれたものである。

道路斜線制限が無く、道路脇に高い建物が並んだとしたらどうだろう。

そこは、暗く、圧迫感を感じる町並となるだろう。

建築家は、この家の設計を通じて道路斜線制限を再考することとなり
完成した時、この制限の有効性を再認識したという。

 

 

制限の中にある可能性

 

正面から見るその姿に驚く人も多い。

狭小かつ変形敷地に建つこの家は 幅≒2.2m。
壁と屋根は途中から急勾配で斜めに立ち上がる。
一見屋根に見える勾配部分の下部は壁である。
 

この家をかたちつくっているのは「制限」である。
道路斜線制限。普段聞きなれない言葉であるが
道路に接する建築物はこの制限のもと設計されている。

道路斜線制限は区域により制限の内容も異なり
この敷地は水平方向対垂直方向が1:1.25 と 1:1.5 という
2つの区域をまたいでいる。

この家の特徴である壁から屋根につづく斜めのラインは
この制限の斜めラインをなぞるように決められた
制限が可視化されたものである。
 

 

黒い外観に内包された白い空間

 

黒くエッジのきいた外観とは対照的に
室内は、白で統一され、柔らかい光に包まれた空間となっている。

窓は、外の景色には期待せず
光を取り入れる為の開口部として設計された。

ポツポツと配置された窓は室内に適度な陰影を生み
外部とは隔たれた、独特の空気感をつくっている。
 

 

個性的な斜め天井

 

特異な外観形状は、そのまま室内空間にリンクする。

リビングの天井は低いところで2m。
制限により、斜めに切り取られた結果である。

この2mを起点にリビングの壁面は斜めに高く延び
天井につながり、最高天井高さは約3.8mに達する。

一部の天井の低さを感じさせない広がりのある空間である。

キッチンの上部は高い天井高さを生かしロフトを設けている。
ロフトの天井高さは1.4mまでと限られているが
天井の低さを感じさせないような広々とした
特別な場所に仕上がっている。
 

 

モノトーンコーディネート

 

外壁の黒に対して、白を基調にモノトーンまとめられた室内。
ベースカラ―を反転することにより、外部に対しての「内」を意識させることになった。
 

 

・意匠設計 : 河澄克典

・竣  工 : 2017年2月

・工事種別 : 新築

・構  造 : 木造在来工法

 

bottom of page