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プライバシーと採光の両立
この家に求められたのはプライバシ―と採光の確保。
敷地条件によっては両立が容易でない場合もある。
南面道路の敷地においては どうだろう。
南面に大きな開口を設けて採光を得る。
これは採光については有効な手段ではあるが
プライバシーの確保には工夫が必要だ。
目隠し塀で囲えば道路からの視線を遮ることは出来る。
これは建築家の美学に反した。
この家は、採光とプライバシーの確保を
美しいフォルムで両立することに成功している。
徹底してシンプルさを追求したその外観は
南面というのに一切の開口部を有しない。
白い外壁を出来る限りきれいに保ちたい。
という機能面について考慮した結果でもある。
壁面が汚染される原因の一つが
開口部の端部の雨垂れだからだ。
その外観からは、一見暗い室内空間を想像するだろう。
しかし、玄関扉を開けると印象は一変する。
そこには、明るい光が差し込む中庭が表れる。
窓の無い外観の奥にある 明るい中庭
プライバシーが完全に確保された中庭
中庭には、室内と同色のウッドデッキが敷かれ
高さは室内の床と同じ高さに設定されている。
この為、室内と中庭が一体につながり
実際の室内空間の面積よりも広く感じることができる。
サッシは天井までのハイサッシ。
垂れ壁の無い開口部は中庭とのつながりを強調する。
サッシに関してはもう一工夫ある。
サッシとサッシの間の壁も
サッシと類似した黒で仕上げることにより
サッシが横に連続しているように見せている。
この中庭は、外壁で完全に囲われている。
通りの視線を気にして、カーテンを閉める必要もない。
プライバシーが完全に確保された中庭では
開放的な暮らしを楽しむこと出来る。
色を限定したシックで高級感のあるインテリア
インテリアは色を限定することで
統一感のある空間となっている。
フローリングはウォールナットの無垢。
白い壁をベースにアクセントにグレー系の天然石をあわせた。
黒いサッシと階段が空間を程良く引き締め
シックで落ち着いた雰囲気に仕上がった。
・意匠設計 : 河澄克典
・竣 工 : 2015年
・工事種別 : 新築
・構 造 : 木造在来工法